現役消防団員から毎日新聞の記事「<消防団員>無活動1548人、報償7900万円 県都で」に対してのコメント

私は,現役の消防団員なんですが,毎日新聞の記事「<消防団員>無活動1548人、報償7900万円 県都で」に対して思う事がありましたので,ちょっと書きたいと思います。

◇「幽霊」分を水増し請求

茨城県桜川市で5年以上、消防分団の一員として活動する30代男性は「うちの分団幹部も複数の『幽霊団員』を出動扱いにして、手当を水増し請求している」と証言した。

男性が所属するこの分団では、3年以上活動していない団員が複数おり、「歓迎会に来たきり、来なくなった人もいる」。男性がある消火活動に参加した際、分団長がこうした幽霊団員も出動したことにして消防本部に報告しているのが聞こえてきたという。

幽霊団員の報酬や手当は、分団の飲み会や旅行の代金に消えている可能性がある。同市では、団員への報酬や手当が分団や分団長の口座に振り込まれ、男性は入団以来、報酬や手当を一度も手にしていないという。男性は「行政も見て見ぬふりをしているのではないか」と憤る。

同市防災課は「事実関係の確認が必要だが、分団長の報告を信頼するしかなく、現時点で報告の仕組みを変えるつもりはない」と話している。【高橋祐貴】

◇「実態把握すべき」

消防団の活動に詳しい関西大の永田尚三准教授(消防・防災行政)の話 「幽霊消防団員」の存在は各地で聞くが、行政は調査に及び腰だ。消防団は地域で力を持ち、主な業務以外のパトロールや警備などもしており、消防団との関係を悪化させたくないからだろう。行政はまず、消防団と対等の関係を築き、実態を把握すべきだ。

毎日新聞の記事からの引用です。

幽霊消防分団員の手当分をその分団で不正請求するな!ちゃんと実態把握しろ!っていうことなんだと思いますが,そりゃあルール違反はいけませんよね。

私のところの分団では出席率が高いので不正請求なんて絶対ありえません。

だって,半年ごとに火事や広報,訓練の回数に応じて市役所から支給されるんですが,どれだけ出動しても約10回分しか出ないんですよ。

けれど,火事がなくても市役所,消防分遣署からの命令による火災予防広報や水槽,消火栓などの点検,独居老人の方への見回り,空家調査,消防学校での訓練などだけで半年で最低でも20回ほどは出動というか出席しないといけません。

行政によって違うと思いますが,真面目にいくら出席しても決められた回数以上は切り捨てで報酬は支給されません。

私が所属する分団では,全員,最低限の回数出席しているので,不正請求しようがありません。

幽霊団員がいてその分の不正請求はいけないことだと思いますが,気持ちはわかります。

消防の操法大会のある年だと分遣署などにも何度も訓練に行かないといけませんし,その時は,消防の出席回数は半年で50日とか出ないといけません。

けれど,報酬は6万円とかです。

田舎だと広いエリアを分遣署がカバーしきれず,地域の消防団のほうが火事の時には先について初期消火につとめます。

少しのミスで怪我や命にもかかわる可能性もあり,訓練で気を抜くこともできません。

訓練だけでは,火事を想定したコミュニケーションも足りないので,反省会などします。

みんな仕事からそのまま訓練に来て6時から9時まで練習してご飯も食べていないってのばかりなので幹部の人たちが気を使って自腹で食事をおごってくれたりします。

消防団は地域で力を持ち,行政は調査に及び腰って記事に書かれていますが,私の住んでいる地域では違います。

消防団員ということで地域の祭りの準備などに無理やり駆り出されたり大変です。もちろん手当もありません。

過疎化で若い人がいなくて幹部が若い団員に気を遣ったりしないといけない時代です。

実態把握っていいますが,本当に消防団が必要と思うならば,待遇も改善すべきです。

火事の現場で走り続ける体力のある若い人が消防分団員には必要ですが,少子高齢化で確保が厳しい時代です。

不正請求はもちろんいけませんが,したくなるような劣悪な待遇も改善していかなくてはいけないんではないでしょうか?

時給に換算したら300円とかです。

ただ,地域の同年代との連帯感とか,いいこともあります。

釣りの記事も書いてますが,消防団なのでOBから教えてもらった内緒のポイントとかあります。テクニックも丁寧に教えてもらって釣れるようになりました。消防入って教えてもらうまでは全然釣れませんでしたし・・・。

そんな消防団に入ったメリットはありますが,出動回数が多いと家族との時間が減るか,自営の仕事の外部委託を増やして手取りが減るかしないといけないのが悩みどころです・・・。

最近は,釣りに行く時間もありませんし。

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